宅建士の資格を取得しようと思って費用を調べると、こんなところで止まりませんか。
- 調べても講座の受講料ばかりで、ほかに何が要るのかが出てこない
- 合格したあとにも登録でお金がかかるらしいが、いくらなのかは分からない
- 落ちたら費用がどれだけ増えるのか、どこにも書いていない
- 出した分を取り戻せるのかどうか、そこが判断できない
出てくるのはたいてい、1回で受かった人の費用です。しかも講座の受講料が中心で、合格したあとに払うお金は別のページに分かれている。全部でいくらなのかが、最後まで分かりません。
私は40代で宅建を受けて、1回目は26点で落ちました。2回目に37点で合格して、宅地建物取引士証を手にするまでに払った金額は192,393円。領収書と注文明細が全部残っています。
この記事では、宅建士の取得費用を3つに分けて整理します。必ずかかるお金・人によって必要なお金・自分で決めるお金の3つ。分け方が分かると、あなたの場合いくらになるかを自分で計算できます。
- 必ずかかるのは49,700円(受験料8,200円+資格登録37,000円+取引士証4,500円)。政令で金額が決まっています
- 実務経験が2年未満なら、登録実務講習22,000円が加わります
- いちばん動くのは講座代。独学なら0円、通信講座なら数万円から
- 私は2回受けて192,393円。合格して受講料が全額返ってきたので、実質148,569円でした
- 月1万円の資格手当がつく職場なら、約15か月で戻る計算です
宅建士の取得費用は3つに分かれます。必ずかかるのは49,700円
宅建士になれるまでにかかるお金を「全部でいくら」で考えると、いつまでも答えが出ません。人によって変わる部分が大きすぎるからです。
そこで3つに分けます。この分け方なら、自分に当てはまる行を足すだけ。
| 分類 | 中身 | 金額 |
|---|---|---|
| ① 必ずかかるお金 | 受験料/資格登録/取引士証の交付 | 49,700円 |
| ② 人によって必要なお金 | 登録実務講習/法定講習/交通費・宿泊/書類の実費 | 条件による |
| ③ 自分で決めるお金 | 講座代/受験回数 | 0円〜 |
①は法律で額が決まっているので、誰がどこで受けても同じ。②は実務経験の有無や住んでいる場所で変わります。③はあなたが決める部分。
費用の差は、ほとんどが③で生まれます。①はどうやっても削れず、②は条件で決まる。迷う価値があるのは③だけです。
必ずかかるお金:受験料8,200円+資格登録37,000円+取引士証4,500円
この3つは全国どこでも同じ額です。根拠は「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」(平成12年政令第16号)。宅建士に関する手数料が、次のように定められています。
| 手続き | 金額 | 誰が払うか |
|---|---|---|
| 宅地建物取引士資格試験の実施 | 8,200円 | 受験する人全員 |
| 資格登録簿への登録 | 37,000円 | 登録する人 |
| 取引士証の交付 | 4,500円 | 取引士証を取る人 |
| 取引士証の更新(5年ごと) | 4,500円 | 更新する人 |
| 登録の移転 | 8,000円 | 他県に移す人 |
手数料そのものは各都道府県が条例で決める形になっています。ただしこの政令は、対象を「全国的に統一して定めることが特に必要と認められるもの」と書いている。実際に岡山県・東京都・大阪府の公式ページで確認したところ、3都府県とも上の表と同じ額でした。
私が登録した岡山県の場合は、資格登録申請が37,000円、取引士証の交付が4,500円と県のページに書かれています。自分の県の金額は、都道府県の担当課のページで確認できます。
受験料は令和4年度から変わりました。私が1回目を受けた令和3年度は7,000円、2回目の令和4年度は8,200円。2回受けたら受験料が違ったんです。
合格しても、登録しないという選択もある
宅地建物取引士証とは、重要事項の説明など宅建士にしかできない仕事をするために必要な、顔写真つきの証明書です。試験に受かっただけでは、この仕事はできません。
逆に言えば、資格を履歴書に書きたいだけなら41,500円(登録37,000円+取引士証4,500円)は払わずに済みます。実際に登録するかどうかは、資格を何に使うか次第。
合格したあとの手続きは、必要な書類も窓口も期限もそれぞれ違います。順番と中身は宅建の合格後にやること|登録実務講習から宅建士手当までの流れにまとめました。
人によって必要なお金:登録実務講習22,000円と、地方だとかかる費用
ここは条件で決まる部分です。自分に当てはまるものだけ足してください。
実務経験が2年未満なら、登録実務講習が要る
宅建士として登録するには、2年以上の実務経験が必要です。経験がない場合は、登録実務講習を受ければその代わりになります。
私が受けたのはLECの岡山本校で、22,000円でした。土日の2日間で、講義を聞いていれば修了試験は問題ありません。未経験から宅建士になる人は、ほぼ全員がここを通ります。
合格から1年を過ぎると、法定講習が追加になる
取引士証は、合格から1年以内に交付を受ければそのまま取れます。1年を過ぎると法定講習を受けないと交付されません。
この受講料は都道府県の実施機関(宅建協会や不動産協会)が決めるので、全国一律ではありません。金額は自分の県の実施機関で確認してください。
私は合格発表から3か月で宅建士登録まで終わらせたので、この講習は要りませんでした。急ぐと1回ぶん浮きます。
交通費と宿泊費は、住んでいる場所で変わる
試験会場までの交通費は、試験会場までの距離によります。私の場合は電車で往復2,340円でした。
登録実務講習でも同じことが起きます。私は地方に住んでおり自宅から会場へ通うのが難しいので、素泊まりで6,000円ほどのホテルに1泊しました。ただし物価は当時と今で違います。金額そのものより「泊まりが要る場合がある」ことを覚えておいてください。
もうひとつ、地方だと手間が増えることあります。私は登録申請のために、仕事中に車で1時間かけて県庁へ行きました。郵送で済ませられるのは県外に住んでいる人だけで、県内在住者は窓口に行くことになっています。
判定は距離ではなく県内か県外か。同じ1時間かかる人でも、県外なら郵送でよくて、県内だと窓口です。私は「県内だけど市外で遠いから郵送でいけるだろう」と思っていて、駄目でした。
書類をそろえる実費もかかる
登録申請には、本籍地の役所が出す身分証明書が要ります。住民票とは別の書類です。私は本籍地と郵送でやりとりして、定額小為替の手数料を含めて300円でした。
金額は自治体によって違います。数百円の話ですが、書類を取り寄せる手間と日数のほうが読者にとっては負担かもしれません。
自分で決めるお金:講座代と、受験回数
ここが総額をいちばん左右します。独学なら市販のテキスト代だけ。通信講座を使うなら数万円から。
そしてもうひとつ、総額を左右するのが受験回数です。
落ちると増えるのは、受験料だけではない
「落ちてももう1回受ければいい」と考えると、増えるのは受験料8,200円だけに見えます。実際はそうとは限りません。
- 同じ講座を使う……増えるのは受験料だけ
- 講座を変える……受験料+講座代がもう1回
- 独学に切り替える……受験料+テキスト代
私は2年目に講座を変えたので、講座代をもう1回払っています。ここが総額を押し上げた最大の要因でした。
ただし、変えたこと自体は後悔していません。同じ講座を続けるか変えるかで迷っている方は、宅建リベンジ|落ちた翌年に通信講座を変えるべきかに判断の材料を書きました。
講座代を下げる特典が2つある
講座代は定価で払うとは限りません。私が実際に使ったのが次の2つです。
| 特典 | 内容 | 私の場合 |
|---|---|---|
| 他校からの乗り換え割引 | 他社の講座を使っていた人向けの割引。受講証明や領収書の提出が要る | 20%引きで購入 |
| 合格したら全額返金 | 合格すると受講料が返ってくる特典。対象コースと条件がある | 受け取り済み |
全額返金には条件が3つあります。合格通知書のデータ提出、合格体験記の提出、合格者インタビューへの出演。対象はフルのカリキュラムだけで、返ってくるのは税抜価格です。申請期限を過ぎると受け付けてもらえません。
私が2年目に使ったアガルートの宅建士講座は、勉強がはじめての人向けの入門カリキュラムと、一度学習したことがある人向けの中上級カリキュラムに分かれています。入門カリキュラムの講義を担当するのは小林美也子講師。この全額返金の特典も、対象はフルのカリキュラムです。最新の受講料と特典の条件は公式サイトで確認してください。
講義とテキストが実際どうだったかは、手元の実物と公式の数字をもとにアガルート宅建講座の評判|講義とテキストの中身を、実物と数字で書きますに書きました。
実例:私は2回受けて192,393円でした
ここまでの3分類に、私の実際の金額を当てはめます。推計はひとつも入れていません。すべて領収書・注文明細・県の公式ページで確認した額です。
| 項目 | 金額 | 分類 |
|---|---|---|
| フォーサイト バリューセット2(1回目) | 63,327円 | ③ |
| アガルート 入門にあたるコース(2回目・乗換割引20%後) | 43,824円 | ③ |
| 受験料 令和3年度 | 7,000円 | ① |
| 受験料の事務手数料(1回目) | 242円 | ① |
| 受験料 令和4年度 | 8,200円 | ① |
| 登録実務講習(LEC岡山本校) | 22,000円 | ② |
| 宿泊(素泊まり1泊) | 6,000円 | ② |
| 資格登録申請 | 37,000円 | ① |
| 身分証明書の取り寄せ | 300円 | ② |
| 宅地建物取引士証の交付 | 4,500円 | ① |
| 合計 | 192,393円 | — |
| 合格による全額返金 | −43,824円 | ③ |
| 実質 | 148,569円 | — |
この表に交通費は入れていません。2回目の受験は往復2,340円でしたが、1回目の記録と県庁へ行った分が残っておらず、片方だけ足すと総額が不正確になるからです。
1回目に落ちたときの詳細は宅建に落ちた|26点で不合格に、2回目の合格と全額返金を受け取るまでの流れは宅建 合格体験記|アガルートで2回目37点に書きました。
回収できるか:手当が月1万円なら約15か月
費用の話でいちばん知りたいのは、たぶんここだと思います。出したお金は戻るのか。
私の場合、宅建士の資格手当が月1万円つきました。実質148,569円を月1万円で割ると、約15か月。1年3か月ほどで元が取れた計算になります。
- 総額192,393円で計算すると……約19か月
- 全額返金を受けた実質148,569円で計算すると……約15か月
ただし、ここは正直に書いておきたい。手当がつくかどうかは会社によります。
私の手当は月1万円でしたが、売買にがっつり関わる会社なら3万円からという話もありました。逆に、手当の制度そのものがない会社もあります。手当が出ない職場にいるなら、この15か月という数字は当てはまりません。
もうひとつ大事なこと。手当は宅建士登録し会社で宅建士登録されてからつきました。合格しただけではつきません。急いで登録した理由はここにあります。
そもそも宅建の資格が今後も職場で評価されるのかが気になる方は、宅建士の需要は今後も続く?人手不足の理由と、50代未経験が知るべき現実もあわせてどうぞ。
あなたの場合、いくらになるか
最後に、自分の金額を出してみてください。上から順に、当てはまるものを足すだけ。
| 項目 | 条件 | 金額 |
|---|---|---|
| 受験料 | 全員(落ちたら回数ぶん) | 8,200円 |
| 資格登録申請 | 登録するなら | 37,000円 |
| 取引士証の交付 | 取引士証を取るなら | 4,500円 |
| 登録実務講習 | 実務経験が2年未満なら | 2万円台 |
| 法定講習 | 合格から1年を過ぎたら | 県の実施機関で確認 |
| 交通費・宿泊 | 会場が遠いなら | 距離しだい |
| 書類の実費 | 登録するなら | 数百円 |
| 講座代 | 独学以外を選ぶなら | 選び方しだい |
- 試験を受けて資格を履歴書に書くだけ……8,200円
- 取引士証まで取る……49,700円
- 未経験なので登録実務講習も受ける……49,700円+2万円台
そこから先、総額を決めるのは講座代。ここだけが、あなたが自由に決められる部分です。
独学で受かる人もいます。私は1回目に独学ではなく通信講座を選んで、それでも落ちました。落ちた原因は教材ではなく、勉強時間を確保できていなかったことです。どれくらいの時間が要るのかは宅建の勉強時間は社会人だと何時間必要?に実測で書いています。
通信講座を検討するなら、講義とテキストが自分に合うかどうかを先に確かめたほうがいい。合わない講座を2年使うより、合う講座を1年使うほうが結局は安く済みます。アガルートは資料請求でサンプルテキストが無料で届くので、買う前に手で確かめられます。
よくある質問
宅建の費用は最低いくらですか?
試験を受けるだけなら受験料8,200円。宅地建物取引士証まで取るなら、資格登録37,000円と取引士証の交付4,500円が加わって合計49,700円。実務経験が2年未満なら、ここに登録実務講習の費用が乗ります。
登録の手数料は都道府県によって違いますか?
金額は地方公共団体の手数料の標準に関する政令で定められていて、資格登録が37,000円、取引士証の交付が4,500円です。手数料自体は各都道府県が条例で決める形ですが、岡山県・東京都・大阪府の公式ページで確認したところ、3都府県とも同じ額でした。
宅建に落ちたら、いくら追加でかかりますか?
同じ講座を使うなら受験料8,200円だけです。講座を変える場合は、受験料に加えて講座代がもう1回かかります。私は2年目に講座を変えたので、講座代を2社ぶん払いました。
宅建の費用は資格手当で回収できますか?
私の場合は月1万円の資格手当がついたので、実質148,569円を約15か月で回収した計算になります。ただし手当がつくかどうかは会社と部署によります。手当の制度がない職場もあるので、勤務先の規定を先に確認してください。
合格したら、すぐ登録したほうがいいですか?
取引士証を取るつもりなら急いだほうが安く済みます。合格から1年を過ぎると法定講習が必要になり、その受講料が追加でかかるからです。私は合格発表から3か月で取引士証まで終わらせたので、この講習は要りませんでした。
まとめ|金額は人によって違う。だから自分で出せるようにした
- 必ずかかるのは49,700円。政令で決まっていて、確認した3都府県とも同額だった
- 実務経験が2年未満なら登録実務講習が加わる。私は22,000円だった
- 合格から1年以内に宅建士登録まで終わらせれば、法定講習の受講料が要らない
- 落ちて講座を変えると、受験料だけでなく講座代がもう1回かかる
- 私の総額は192,393円、全額返金を受けて実質148,569円
- 月1万円の手当なら約15か月で戻る。ただし手当の有無は会社による
宅建士になるまでにかかるお金は、人によって違います。だから「全部で〇〇円」と一言では書けませんでした。代わりに、自分の分を足し算で出せる形にしています。
ただ、金額を見てから宅建士になるかどうかを決める人は、そう多くないはずです。やると決めたなら、合格を目指すだけ。それでもこの記事を書いたのは、49,700円のうち41,500円が、合格したあとに出ていくお金だからです。受験料より、受かってからのほうが高い。
いまのうちに把握しておけば、合格したあとは順番に手続きするだけになります。私も40代後半から始めて、2回受けてようやく合格しました。お金で足を止める必要はありません。宅建士証を受け取る日まで、進んでいきましょう。
